このページは、私(tshikimi)が AI 音楽制作にどう向き合っているかを整理した場所です。技術的なツールの一覧ではなく、「なぜ AI と音楽を作るのか」「どうやって作品として世に出すのか」を中心に書いています。完成した楽曲そのものは、姉妹サイト tshikimi.com でまとめて公開しているので、気になった方はそちらも覗いてみてください。

制作哲学

まず、私にとって「AI 音楽」とは何か。これを言語化しておかないと、話が噛み合わないからです。

一般的に「AI 音楽」と聞くと、「AI が勝手に作ったもの」というイメージが先行しがちです。でも、私が作りたいのはそれではありません。目指しているのは、「AI と一緒に作ったからこそ可能になった表現」として胸を張って言える作品です。人間の美意識と、AI の処理速度やセンスの広さが掛け合わさったとき、ひとりでは絶対にたどり着けない場所に行ける。その仮説を、実際に音にして検証する場所として AI 音楽制作があります。

だから、プロンプトをひとつ叩いて出てきた最初の候補を「完成」と呼ぶことはありません。私にとって完成とは、候補の中から選び、構成を組み替え、ミックスを整え、最後に「これは自分の作品だ」と言える状態まで磨き切ったものを指します。

使っているツール

具体的なツール一覧は Uses にまとめてあるので、ここでは役割だけ書き残します。

  • Suno AI: メインのジェネレーター。プロンプトと歌詞・雰囲気を渡して、楽曲候補を複数生成してもらうパートナー
  • DAW: 生成された楽曲を取り込み、必要に応じてミックスや構成調整を行うための作業場
  • リファレンス集: 自分の好きな既存曲を集めたプレイリスト。構成や音作りの判断基準を確かめるときに使います

ツールはどれも「手段」であり、主役は常に「どんな作品にしたいか」という自分の意図です。

制作フロー

一曲を世に出すまでの流れを、いつも同じ順番でたどっています。毎回同じ型を使うことで、作品ごとのクオリティのばらつきを小さくできるからです。

1. 情景の言語化

まず最初に、「どんな空気感・情景・感情を届けたいか」を、自分の言葉で短くまとめます。だいたい 200 字以内。ここがぼやけていると、どれだけ AI に渡しても、返ってくる候補もぼやけたものになります。

2. リファレンスの整理

次に、参考にしたい既存曲の要素を書き出します。テンポ、楽器編成、雰囲気、感情の山谷。真似るというより、「自分が良いと思う基準」を改めて可視化するための作業です。

3. プロンプトの設計

情景とリファレンスをまとめて、Suno AI に渡すプロンプトを組み立てます。ここが実質的な「作曲」の入り口になります。自分が書くプロンプトは、できるだけ具体的で、感情の向きがはっきりしているものを目指します。

4. 候補出しと選別

Suno AI に複数バリエーションを生成させ、候補の中から「感情曲線が自然なもの」を選びます。最初から完璧を求めず、ここでは「光るものがひとつ以上あるか」だけを判断基準にします。

5. 構成と磨き込み

選んだ候補を DAW に読み込み、必要に応じて構成を組み替えたり、帯域を整えたりします。ここは機械的な作業に見えますが、実は「人間の美意識」が最も効く工程です。引き算の判断が、作品の印象を大きく左右します。

6. 完成判定

最後に、自分に対して問いかけます。「これは、自分が作ったと胸を張れるか?」と。迷いがあるなら、もう一周やり直します。この問いがあるかないかで、生成物と作品の境目が決まると思っています。

クレジットと権利の方針

AI 音楽を公開するにあたっては、いくつかの原則を決めています。

  • 「AI と一緒に作った」ことは隠さない: Suno AI をはじめとする生成ツールを使っていることは、作品の紹介文で明示します。そのうえで、人間の判断をどう介在させたかを言語化するよう心がけています
  • 既存曲のメロディを直接コピーしない: 参考にはしても、「知っているフレーズ」が出てきたら必ず差し替えます
  • 商用利用は各ツールの規約に従う: 使用しているサービスごとのライセンスに沿って扱います

AI 音楽はまだ新しい領域なので、権利まわりのルールも流動的です。その前提の上で、「自分が作ったと言える範囲」を自分の中でしっかり引いておくことが、いまの段階では最も誠実な姿勢だと考えています。

どんな作品を作っているか

特定のジャンルに縛られず、その時々の感情や情景に寄り添った曲を作っています。ジャンルで言えば、チルアウト寄りのポップスや、ゆるめの R&B、映像的なインスト、あたりが多めです。共通しているのは、「静かに、でも長く聴ける」を意識していること。派手さよりも、時間の経過に耐えるしなやかさを優先しています。

具体的な楽曲は tshikimi.com に集約しています。気になるものがあれば、そこからアクセスしてみてください。

これから

AI 音楽の世界は、ここから数年で大きく変わると思います。ツールの性能はもっと上がり、生成された音の精度もさらに精細になるでしょう。それでも、「何を良しとするか」を判断する役割は、人間の側に残り続けるはずです。

自分のこれからの取り組みは、「作品単体のクオリティを上げる」と「制作プロセスを再現可能にする」の両軸で進めていきます。いつか、同じように AI 音楽を作っている誰かの参考になれば、このページを書いた意味があると思います。

新しい楽曲や制作ログについては、このブログの Posts 側で少しずつ公開していく予定です。もし制作について話したいことがあれば、Contact ページ からお気軽にどうぞ。